曳家での建築確認のコツ!建築基準法・既存不適格など曳家先生が解説!
2024年10月10日|
教えて曳家先生! 第八話 ~絶対に損しない建築確認のコツ~ 既存不適格など曳家先生が解説!
「教えて曳家先生!~絶対に損しない○○のコツ~」では、曳家の専門業者だからこそ知っている絶対に損をさせないお得な情報、大切な情報について触れていきます。
曳家を検討されている方はぜひ読んで、絶対に損しない曳家と工事の後にも続く大切な生活に必要な情報を一緒に学んでいきましょう。
こんにちは曳家先生です。前回は、「絶対に損しない工法のコツ」についてお話ししました。今回は、「絶対に損しない建築確認のコツ」についてお話しします。
建築確認とは、建築前に建築主事から指定確認検査機関に申請し、建築内容が現行の建築基準法に適合するか確認審査をしてもらう手続きのことです。建築確認申請は曳家工事の成否にも関わる重要なポイントです。そのため、建築確認申請の大まかな概要を知ることが大切です。
まず「絶対に損しない建築確認のコツ」を知るためには、建築確認申請がどのようなものか知る必要があります。
最初に、建築内容にはどんな種類があるのかを学んでいきましょう。これらの建築の種類を理解することで建築確認申請を理解することができます。
そもそも建築って何?建築基準法での「建築」の定義
そんなこと言われたってシンプルに家を建てることが「建築」じゃないの? って誰しも思いますよね。
実は建築基準法では「建築」=「建物をつくる行為」として次の4種類の「行為」を「建築」として定義しているんです。
※「修繕」、「模様替え」については、今回は説明しません。
1.新築
「新築」とは建物のない更地に建築物をつくることを言います。また敷地をまたいだ曳家工事(曳き移転)も新築として定義されます。
※他の敷地の建築物を曳移転で更地に移動する場合も建築基準法の新築となります。
2.増築
「増築」とは敷地内の建築物の建築面積や床面積・延べ面積を増加させることを言います。一棟としての増築、別邸としての増築のどちらもこれに含まれます。
3.改築
「改築」とは建築物の一部か全部を取壊し、用途や構造、規模を変えずに建築物を作ることを言います。ただし用途・構造・規模の著しく異なる、全部建替は新築、一部建替は増築となります。
4.移転
「移転」とは同一敷地内での建物の移動を言います。同一敷地内での「移転」は既存不適格扱いとして、建築当初の建築基準法への適合が求められます。また、敷地をまたいだ曳き移転(新築)であっても、特定行政庁の認定を受けることで制限緩和により既存不適格扱いを受けることがあります。
つまり、
- 同一敷地内の移動:既存不適格扱い
- 他の敷地からの移動:認定により既存不適格扱い
となります。
また特定行政庁から次の5つの認定を受けることができれば既存建築物に制限緩和(技術的助言)があります。
- 上部構造の移転で前よりも悪くならないこと
- 移転の周囲に与える影響が少ないこと
- 外壁等の延焼のおそれのある部分の防火措置を行っていること
- 用途地域、容積率、建ぺい率などの集団規定は移転敷地に適合させること
- 周囲の環境への影響、許可などの実績を勘案すること
これらの建築行為を行うためには、一部の例外を除いて建築確認申請を通して建築基準法への適合を確認審査してもらうことが大切です。
曳家をする建物の中には、その曳家の対象となる建築物が手続きや避難、構造規定など、参照すべき建築基準法の規定に適合しないまま作られた違反建築物であることもあります。
その場合には移転の確認申請を取る前に建築士による調査・是正・報告書の作成が必要になったり、そもそも曳家工事ができない建築物が含まれることもあるので、曳家業者の担当者が建築基準法の最低限の知識を有するとともに、計画段階から知見ある建築士との共同計画が重要になってきます。
なぜ曳家にも建築確認が必要なの?
なぜ曳家工事にも建築確認が必要なのか?
それは、建築基準法6条では「建築主は、特定の建築物を建築、増築、大規模修繕、大規模模様替えする場合、工事着手前に確認申請を行い、建築主事の確認を受ける必要がある」と定められているからです。
確認申請の主な目的は、「建築計画が建築基準法やその他の関連法規に適合しているかを第三者がチェックし、違反建築物の建設を防ぐこと」です。
つまり、建築主、これから住む人とその周囲に住む人の生命と財産を守るために建築基準法という法律の下で計画、チェックを行う仕組みなんですね。
曳家工事でも大切なのは工事をした後、ずっとその建物に住み続ける方の生命と財産を守る義務があるのです。
さて、確認申請が必要な建築物は以下の通りです。
1.特殊建築物(1号建築物)
面積100㎡以上の一般よりも強い制限を課す建築物を特殊建築物と言います。映画館・病院・学校などの公共性の高い建築物がこれに該当します。
2.木造建築物(2号建築物)
3階以上、面積500㎡以上、高さ13m以上、軒高9m以上のいずれかに該当する大規模な木造建築物の事を2号建築物と言います。木造かつ規模が大きいことで災害時の避難や防火上の措置に対し、厳しい制限があります。
3.木造以外の建築物(3号建築物)
2階以上、面積200㎡以上のいずれかに該当する木造以外の鉄骨造、鉄筋コンクリート造、コンクリートブロック造などの建築物のことを3号建築物と言います。なお、鉄骨造であっても面積が200㎡未満の平屋建て車庫などは4号建築物に含まれます。
4.上記1、2、3、以外の建築物(4号建築物)
1号、2号、3号以外の建築物を4号建築物と言います。4号建築物には「4号特例」と呼ばれる緩和措置が適用されます。
具体的には
木造の場合:
- 2階建て以下
- 延べ面積500平方メートル以下
- 最高高さ13メートル以下
- 軒高9メートル以下
非木造の場合:
- 平屋建て
- 延べ面積200平方メートル以下
これらの条件を全て満たす建築物が4号建築物として分類されます
この特例により、建築確認申請の際に次の2つの簡略化が認められています
- 建築確認審査の一部項目が対象外となる
- 構造計算書の提出が不要
これらの特例により、4号建築物の建築確認手続きが簡素化されています。
ただし、2025年4月から「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」(令和4年法律第69号)により、建築確認・検査対象の見直しや審査省略制度(4号特例)の縮小が措置され、建築主・設計者の行う建築確認の申請手続きも変更されます。
つまり、「4号特例」が変更になるため、建築士への相談が必要です。
2025年4月から4号特例が変わります。(国土交通省)
建築基準法の抜け道!?既存不適格とは
さて次は、曳家工事でよくある「既存不適格」について解説していきます。
建築基準法における既存不適格とは、建築当時は適法であった建築物が、その後の法改正によって現行の建築基準法に適合しなくなった状態を指します。この概念は、法律の遡及適用を避け、既存の建物所有者の権利を保護するために設けられました。
既存不適格の具体例としては以下のようなものがあります
- 建ぺい率や容積率の変更により、現在の基準を超えている建物
- 耐震基準の強化により、現行の耐震性能を満たしていない建物
- 防火地域の指定変更により、現在の防火基準を満たしていない建物
法的な観点から見ると、既存不適格建築物は以下のような扱いを受けます:
- 現状のまま使用し続けることが可能(そのまま継続して利用する場合には、遡及適用はされません)
- 増築や大規模な改修を行う場合は、現行の基準に適合させる必要がある。(ただし、計画の内容によって様々な緩和措置が設けられています)
- 建て替えの際は、新しい建築基準法に完全に適合させる必要がある。
近年の法改正や動向として、以下の点が挙げられます:
- 2018年の建築基準法改正により、既存不適格建築物の増築に関する規制が一部緩和された
- 耐震改修促進法の改正により、耐震性能が不足する既存不適格建築物の所有者に対して、耐震診断や改修の努力義務が課されるようになった
- 地域の特性に応じた柔軟な対応を可能にするため、一部の基準について地方自治体が条例で独自の規制を設けることが可能になった
法的根拠
既存不適格に関する主な法的根拠は以下の通りです:
- 建築基準法第3条第2項:既存不適格建築物に対する基本的な取り扱いの規定
- 建築基準法第86条の7:既存建築物に対する制限の緩和の規定
- 建築基準法施行令第137条〜第137条の15:具体的な緩和措置の内容の規定
既存不適格と違法建築物の違い
既存不適格と違法建築物は異なる概念です:
- 適法性:
・既存不適格:建設時には適法
・違法建築物建設当時から法的に問題があったもの - 建築確認の有無:
・既存不適格:当時の法律に基づいて許可を取得している(もしく建築当時に建築基準法が施行されていない)
・違法建築物:当時の法律に基づいて建築許可を取得していないか、許可内容と異なる形で建てられている。
つまり、その建築物が建てられた年月日とその当時の建築基準法が既存不適格と違法建築物を分ける判断基準となります。
余談ではありますが、建築基準法の施行されたのは昭和25年ですので、それ以前の建築物に関しては、既存不適格扱いとなります。(昭和25年以降の建築行為(増築、改築など)があった建築物を除く)
既存不適格は、都市の安全性向上と既存建築物の有効活用のバランスを取る上で重要な概念です。曳家工事において建物の所有者は、自身の建物が既存不適格に該当するかどうかを確認し、必要に応じて専門の建築士に相談することが推奨されます。
建築工事には、工事着工前から工事中、工事完了後と様々なリスクが伴います。これらのリスクからお客様生命と財産を守るための法律が建築基準法です。建築基準法を理解し、建築確認を理解することで、生命と財産を守ることができます。
ここまで、曳家工事を含む建築の定義や建築物の種類についてお話ししました。ただでさえ分かりにくい建築基準法ですが、2025年4月には4号特例(審査省略制度)の対象範囲が変更になります。建築確認について分からないことがあれば、どんなに小さいことでも身近な業者さん、建築士さんに相談してくださいね。
また教えて曳家先生では建築確認以外の曳家にまつわる法律についても「教えて曳家先生! 第五話 ~絶対に損しない法律のコツ~」で触れているので、興味のある方、よくあるトラブルを回避したい方は参考までに見てみてください。
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生命と財産を守る建築基準法だけど・・・
建築基準法は私たちの生活、つまり生命と財産を守るために存在します。しかし、複雑で難解な内容も多く、一般の方には理解しにくいと感じられることも少なくありません。また特に曳家工事のような専門性の高い分野では実は工事に関わる建築士や曳家業者でも関連する法律を把握しているとは限らないのが現状です。
だからこそ実績と経験に基づいてお客様の状況に合わせた適切なアドバイスを提供できる業者が大切です
そして私たちは・・・
お客様の不安や疑問を解消するために
丁寧なカウンセリング:お客様のご要望を丁寧に伺い、不安や疑問を解消します。
分かりやすい説明:専門用語をできるだけ使わずに、お客様に分かりやすい説明を心掛けます。
見積もりの詳細:費用内訳を詳細に説明します。
お客様の安心のために
無料相談:費用や工期など、建築確認申請の際にわからないことなど何でもお気軽にご相談ください。
現地調査:建物の状態や周辺環境を調査し、無理のない工事の提案とその説明を心掛けます。
アフターフォロー:工事完了後も定期的に連絡を取り、建物の状態を確認します。
などをお客様の安心安全な曳家工事のために、全力でサポートをして参ります。
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「教えて曳家先生!~絶対に損しない○○のコツ~」では、曳家の専門業者だからこそ知っている絶対に損をさせないお得な情報、大切な情報について触れていきます。
曳家を検討されている方はぜひ読んで、絶対に損しない曳家と工事の後にも続く大切な生活に必要な情報を一緒に学んでいきましょう。
もし身近に信頼できる曳家さんがいない場合は日本曳家協会認定の曳家指導士、五月女がお答えします。ぜひ五月女建設のお問合せフォームにお悩みを曳家先生へのウェブ相談、もしくは五月女建設のお問合せフォームでご連絡くださいね。あなたの身に寄り添った立場で法律面、施工面、費用面など持てる知識と経験の限り、誠心誠意お答えさせて頂き、あなたの「絶対損しない建築確認」に協力させて頂きます。