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教えて曳家先生! 第十六話 ~絶対に損しない液状化現象のコツ~

液状化現象のメカニズムや事例、対策「沈下修正工事」、起こりやすい場所とは?曳家先生が徹底解説!

「教えて曳家先生!~絶対に損しない○○のコツ~」では、曳家の専門業者だからこそ知っている絶対に損をさせないお得な情報、大切な情報について触れていきます。
曳家を検討されている方はぜひ読んで、絶対に損しない曳家と工事の後にも続く大切な生活に必要な情報を一緒に学んでいきましょう。

こんにちは曳家先生です。前回は、「絶対に損しない床下浸水のコツ」についてお話ししました。今回は、ニュースでよく見る地震での建物の損壊、「液状化現象」について、その仕組みや特徴についてお話します。


~備えあれば憂いなし!「液状化現象」を徹底解説!~

 

地震の恐ろしい落とし穴:液状化現象とは

ニュースを見ていると、地震による建物の倒壊や火災の映像に目が行きますよね。でも実は、地震の恐ろしさはそれだけじゃないんです。地面そのものが液体のように変化する「液状化現象」が、私たちの生活を脅かす大きなリスクとなっているんです。

液状化現象とは、地震の際に地下水位の高い砂地盤が振動によって液体状になる現象です。まるで地面が泥水のようにドロドロになってしまう、そんなイメージでしょうか。

この現象は、特に水を多く含んだ砂の地盤や埋立地で発生しやすく、そんな地盤に地震による強い揺れが加わることで、地盤が一時的に支持力を失い、建物や構造物が沈下したり傾いたりすることがあります。

 

なぜ起こるの!?:液状化のメカニズム

液状化が起こりやすいのは、主に地下水位の高い、ゆるい砂地盤です。地震の激しい揺れによって、砂粒子の間の結合が切れ、水と砂が分離し、砂が水に浮いた状態になります。

つまり、砂の粒子がバラバラになり、その隙間に水が流れ込むことで、地面全体が液体のようになってしまうんです。

 

そのステップを4つの段階で説明します。

  1. 通常時:砂粒同士が接触し、摩擦により地盤の安定を保っている。
  2. 地震時:地震の揺れにより地盤が変形し、砂粒間の隙間にある水の圧力が上昇。
  3. 液状化:水圧の上昇により砂粒同士の接触が弱まり、地盤全体が泥水状になる。
  4. 地震後:砂粒が沈降し、地盤が沈下。過剰な水圧により噴砂や噴水が発生

恐ろしい液状化現象はいくつかの条件が重なることによって、発生します。
次は具体的にどんな被害の例があるのかを見ていきましょう。

他人事じゃない!:日本であった被害例

  • 新潟地震(1964年): 液状化によって県営アパートが大きく傾く被害が発生しました。
  • 阪神淡路大震災(1995年): 神戸港の港湾施設が液状化を主因とする大きな被害を受けました。
  • 東日本大震災(2011年): 関東地方で96市町村で液状化被害が確認され、特に東京湾周辺では広範囲にわたる液状化現象が発生しました。

 

特に東日本大震災の液状化被害は記憶に新しいのではないかと思います。では、液状化がおこると私達の生活にはどんな影響が起こるのでしょうか?

 

液状化が引き起こす被害とは?:私たちの暮らしに迫る危機

液状化現象は、まるで地面が牙をむくように、私たちの生活基盤を容赦なく破壊します。その被害は、想像を絶するほど甚大です。

  • 地盤沈下、道路陥没や亀裂: 道路や地面に深い亀裂が走り、建物は傾き、基礎部分がむき出しになることも。住み慣れた家や近隣地域が道路の陥没や埋設水道管や下水などのライフラインの切断により、一瞬にして生活できない空間に変わってしまうのです。
  • 噴砂:地中の砂が、水と混ざって地表に噴き出します。

  • 軽い地中構造物の浮上: 地下深く埋まっているはずのマンホールや下水管が、まるで地底からの使者のように地上に浮き上がります。道路は陥没し、水道やガスなどのライフラインが寸断され、復旧には長い時間を要することもあります。

  • 重い構造物の傾斜・倒壊:液状化現象による急激な地耐力の低下により、重い建物が傾いたり、沈下してしまうことがあります。 一度傾いた建物は、もはや安全な住まいとは言えないかもしれません。最悪の場合、傾いた建物が倒壊する可能性もあります。

 

もし建物に「ひび割れ」が起きてしまった時は「教えて 曳家 先生! 第十一話 ~絶対に損しない ひび割れ 防止のコツ~」」を参考にしてください。

液状化現象の被害は、私たちの生活を破壊してしまう力を持っているんですね。次は液状化しやすい地形、条件などに触れていきます。

私の家は大丈夫?:液状化が発生しやすい地形と条件とは?

現在では、過去の事例から液状化現象が起きやすい地形や条件がわかってきていると言われています。それでは一体どんな地形・条件で液状化現象が発生しやすいのでしょうか。

 

液状化が起こりやすい地形

  • 埋立地・干拓地: 人工的に作られた埋立地や干拓地、特に埋め立て年代の浅い埋立地砂鉄・砂礫を採掘した跡地沢・谷埋め盛土の造成地は、液状化が発生しやすい地盤です。他に注意が必要な具体的な土地としては砂州・砂礫州、旧河道、旧池沼などです。
  • 河川沿い・海岸沿い: 河川沿い、海岸沿いは、地下水位が高く、砂地盤が広がっているため、液状化のリスクがあります。三角州、海岸低地、後背湿地、干拓地などがこれにあたります。
  • 過去の液状化履歴がある場所: 過去に液状化が発生した場所は、再び液状化する可能性があります。

 

液状化が起こりやすい条件

  • 砂質土(砂の地盤):粘性土では液状化現象は発生せず砂質土において発生します。
  • 地下水位: 液状化現象は土中の水分による摩擦力を失わせる現象なので、地下水位が低いところでは発生しません。地下水位が地表面から10m以内である場合、要チェックです。
  • 緩い砂地盤: 海岸や河口付近、埋立地などの砂地だった場所で多く見られます。
  • 大きな地震の揺れ: 震度5以上の揺れで急激に液状化現象が増えるようです。また地震の規模・継続時間などによって被害の程度が異なります。

 

もしかして!?と思ったら・・・

  • 国や自治体が公表しているハザードマップで確認できます。 ハザードマップには、液状化の危険性の高さが示されています。
  • 国土交通省が提供する「ハザードマップポータルサイト」で、全国の液状化ハザードマップやボーリングデータなどを閲覧できます。
  • 過去に発生した液状化被害の履歴を地図上に示した「被災履歴図」や、液状化の可能性の判断に有効な埋立地等を示す「地形区分図」を参考にできます。 これらの資料は、国土交通省が公表しています。
  • 自治体によっては、より詳細な液状化危険度マップを公表している場合があります。
  • 地盤調査会社に依頼して、地盤調査を行うこともできます。

 

どこから手を付けていいかわからない方は、スマホでも簡単に液状化現象を調べることができるツール、「重ねるハザードマップ」を利用してみましょう。あなたの家の液状化リスクが一目瞭然でわかりますよ。

ただし、液状化危険度マップは、過去の地震被害データや地盤調査結果に基づいて作成されていますが、あくまでも目安であり、必ずしも正確に液状化の発生を予測できるわけではありません。現に 東日本大震災では、液状化危険度マップで危険性が低いとされた地域でも、液状化被害が発生しました。ですので、液状化危険度マップで危険性が低いとされていても、絶対に安全というわけではありません。 地盤の状況は場所によって異なり、マップでは表現しきれない細かな違いがあるためです。 

特に、重要な施設や、液状化による被害を受けたくない場合は、専門家に相談の上、液状化対策を検討することをお勧めします。

 

知って得する:液状化対策工事の種類

液状化対策には、大きく分けて以下の2つの方法があります。

  • 「住宅が建ったままの状態」でできる対策(沈下修正工事)

    • 表層地盤改良工法:ウレタン系などで浅い部分から建物を上げる方法
    • 鋼管杭工法:建物重量を反力として支持地盤まで鋼管杭を打ち込み、建物の沈下を修正する工法
    • 薬液注入工法:水ガラス系、ウレタン系、モルタル系などの薬液を地盤に注入して強度を増加、沈下を修正する工法
    • その他:その他、建物の土台から上を上げる土台上げ工法、基礎下に鉄製やコンクリート製の耐圧盤を設け、その反力で建物を持ち上げる耐圧盤工法もあります。
  • 「建て替え・新築時」にできる対策
    • 表層地盤改良工法:セメント系固化材を使用して地表から最大2メートルまでの浅い部分の地盤を改良する方法
    • 深層混合処理工法:セメント系固化材と水を混ぜたスラリーを使用して、現地の土と混合しながら柱状の改良体を形成する工法、最大50m程度の深さまで施工可能
    • 鋼管杭工法:鋼製の杭を地中に打ち込んで建物を支える工法
    • ベタ基礎工法:建物の底面全体を鉄筋コンクリートで覆う基礎工法

 

液状化対策は、建物の構造や地盤の状況に合わせて、適切な工法を選択することが重要です。 近くの建築士や、地盤調査会、沈下修正の専門業者に相談し、最適な工法を選定してもらいましょう。

すでに建っている建物の沈下修正工事については「教えて曳家先生! 第十四回 ~絶対に損しない地盤沈下~」を参考にしてくださいね。

さて、工事を行うにしても、液状化対策に関する法律もチェックしなくてはいけません。
次は液状化対策に関する法制度の解説をしていきますね。

液状化対策に関する法制度

液状化対策に関連する主な法律には、以下のようなものがあります。

  • 宅地造成等規制法: 盛土を行う場合に、地盤の沈下や崩壊を防ぐための対策を義務付けています。
  • 都市計画法: 宅地造成等規制法と同様に、盛土を行う際の対策を定めています。
  • 公有水面埋立法: 都道府県知事が埋め立てを許可する条件として、災害防止に十分配慮することを求めています。 しかし、具体的な液状化対策基準は示されていません。
  • 建築基準法: 建築物の基礎は、建築物に作用する荷重や外力を安全に地盤に伝え、地盤の沈下や変形に対して安全なものとするよう規定しています。 しかし、木造2階建てなどの小規模建築物では、液状化の可能性の判断は設計者に委ねられており、具体的な規定はありません。
  • 宅地建物取引業法: 重要事項説明において、過去に液状化被害があった土地や、沈下の可能性がある土地については、説明義務があります。 しかし、液状化危険度そのものは重要事項説明の対象ではありません。
  • 住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法): 液状化対策についての義務は課していませんが、震災や液状化をきっかけに住宅に欠陥があったことが原因で被害が発生した場合は、瑕疵担保責任の対象となります。

液状化に関連する法律は複雑に感じることも多いと思いますが、万が一が起きてしまった時のために「知る」事が重要です。

「法律はなんとなくわかったけど、実際のお金は?」、「保険は適用されるの?」という疑問もあるかと思います。
それでは液状化の被害に遭った場合、保険の適用はあるんでしょうか?


液状化被害に遭った場合、地震保険は適用されますか?

地震保険は液状化被害にも適用されます。 地震を原因とする火災、損壊、埋没、流失による損害が補償対象となるためです。液状化被害の評価は、建物の損傷の程度に加えて、地盤の沈下や傾斜の程度に応じて行われます。 例えば東日本大震災後には、液状化特有の建物の傾斜や沈下といった損害に着目した損害認定方法が基準に追加されました。

 

地震保険で、液状化被害に対する保険金を受け取るには?

地震が発生したら、加入している地震保険の保険会社に連絡し、被害状況などを報告しましょう。

  1. 保険会社からの連絡を待たずに、ご自身で写真や動画などで被害状況を記録しておきましょう。
  2. 保険会社が、損害調査を行い、損害の程度を判定します。
  3. 損害の程度に応じて、保険金が支払われます。

保険があるとないとでは大違い。今加入されている保険の地震保険の項目を確認しておくとよいでしょう。
次は保険以外の公の支援制度についてです。

液状化被害に遭った時の支援制度

被害の程度や、お住まいの地域によって異なりますが、以下のような支援制度があります。

  • 被災者生活再建支援制度: 住宅が全壊・半壊などの被害を受けた世帯に対し、生活再建のための支援金を支給する制度。
  • 災害復興住宅融資: 住宅の建設や購入資金を、低金利で融資する制度。
  • 災害復興宅地融資: 宅地の購入資金を、低金利で融資する制度。

その他、罹災証明書を提出することによって災害支援金などを受け取ることもできるので、各自治体に問い合わせておくとよいでしょう。

それでも、「地震が不安」、「液状化現象の対策をすることはできないの?」という方もいるかと思います。
そんな方へ液状化対策のベストなタイミングを解説します。

結局、液状化対策は、いつ行うのが良いですか? 

新築時に行うのが、最も効果的かつ経済的です。 つまり、新築時に液状化対策を行うことで、建物の設計の自由度が高くなり、より適切な対策を実施できます。 また、住宅が存在しない状態で施工できるため、費用も抑えられます。

ただし、既存の住宅の場合でも、大規模なリフォームや、ライフラインの更新工事を行う際に併せて検討すると良いでしょう。

液状化対策は、費用対効果や、将来のライフプランなども考慮して判断する必要があります。 専門業者や、自治体の相談窓口などに相談し、情報を収集した上で、判断することをお勧めします。

また液状化対策は、建物の安全性を高めるための有効な手段ですが、地震による被害を完全に防ぐことはできません。 日頃から、家具の転倒防止対策や、非常持出品の準備など、地震への備えをしておくことが大切です。

 

備えあれば憂いなし!

液状化現象は、地震の被害を大きくする可能性があります。でも、事前に正しい知識を身につけて、しっかりと対策をしておけば、被害を最小限に抑えることができます。

また「備えあれば憂いなし」という言葉があるように、日頃から防災意識を高め、いざという時に備えておくことが大切です。

 

この記事を読んで、液状化現象について少しでも理解を深めていただけたら嬉しいです。あなたの安全を守るために、ぜひ参考にしてください。

私たちは、長年にわたり培ってきた曳家工事・沈下修正工事のノウハウと、熟練した技術者の expertise (専門知識) を駆使し、お客様の家屋を安全かつ確実に液状化対策することをお約束いたします。材料の選定から設置、運用まで、すべての工程において、細心の注意を払い、お客様の大切な財産である家屋を確実に守ります。また家屋を守るだけでなく、その歴史や思い出も一緒に守ることが私たちの本来の仕事です。私たちは、「縁の下の力持ち」である仕事を通じて、お客様の大切な家屋と、そこに詰まった思い出を、未来へと繋ぐお手伝いをさせていただきます。

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「教えて曳家先生!~絶対に損しない○○のコツ~」では、曳家の専門業者だからこそ知っている絶対に損をさせないお得な情報、大切な情報について触れていきます。
曳家を検討されている方はぜひ読んで、絶対に損しない曳家と工事の後にも続く大切な生活に必要な情報を一緒に学んでいきましょう。

もし身近に信頼できる専門業者さんがいない場合は曳家先生への「ウェブ相談、もしくは五月女建設の「お問合せフォーム」でご連絡くださいね。あなたの身に寄り添った立場で法律面、施工面、費用面など持てる知識と経験の限り、誠心誠意お答えさせて頂き、あなたの「絶対損しない液状化対策工事」に協力させて頂きます。


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