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曳家工事のひび割れは失敗の証?そのリスクと対策を曳家先生が徹底解説!

教えて 曳家 先生! 第十一話 ~絶対に損しない ひび割れ 防止のコツ~

こんにちは曳家先生です。前回は、「絶対に損しない社長インタビュー」についてお話ししました。今回は、曳家を検討されているお客様からの質問でも最も多いお悩み、絶対にしたくない失敗の一つ「ひび割れ」について、そんなひび割れの影響やデメリット、失敗をなくすにはどうしたら良いのかのコツについてお話します。「

「教えて曳家先生!~絶対に損しない○○のコツ~」では、曳家の専門業者だからこそ知っている絶対に損をさせないお得な情報、大切な情報について触れていきます。
曳家を検討されている方はぜひ読んで、絶対に損しない曳家と工事の後にも続く大切な生活に必要な情報を一緒に学んでいきましょう。

 

ひび割れは、曳家工事中においても絶対に作らないことが大切です。ただここで大切なのは一般的なお客様のほとんどが工事中の失敗であるひび割れのデメリットについて完全に理解していない方が多いことです。

「何のためにひび割れを防止するのか。」「何のためにひび割れの起きない作業を徹底するのか」を理解すれば、曳家工事の作業品質や作業機械を正しく選ぶことの重要性がわかるようになり、失敗のない曳家工事ができます。

 

それではまず経年劣化や良くない曳家工事で起こる「ひび割れ」の種類、影響、デメリットについて勉強していきましょう。

曳家 ひび割れ

ひび割れの識別

まずひび割れにはどんな種類物があるのでしょうか。その幅によって以下のように規定されており、その深刻度と必要な対策が異なります。

  1. ヘアークラック(幅0.3mm以下)
    • 通常は補修不要
    • 見た目が気になる場合は、シーリング材や微細なセメント粉で応急処置可能
  2. 乾燥クラック(幅0.3mm〜1.0mm)
    • 早めの補修が推奨
    • 樹脂注入工法やシーリング工法で対処
  3. 構造クラック(幅1.0mm以上)
    • 構造的な問題の可能性があり、直ちに補修が必要
    • カットシーリング充填工法が適している

 

ひび割れを放置した場合のデメリット

 

 1.雨漏り、水分の侵入

ひび割れを放置することで、雨漏りを始めとした水の侵入が起きてきます。特に冬期においては侵入した水分が夜間に凍結することで膨張し、外壁にさらなるひび割れを作ります。また基礎コンクリートの乾燥クラック、構造クラックを放置してしまうと、内部鉄筋の腐食により、鉄筋コンクリートの大幅な強度低下が起こります。

 2.外壁の劣化、構造木材の腐食

風雨による外壁の劣化の進行が早くなると共に、内部に侵入した水分により構造木材の腐食が始まります。水分の侵入による湿度の高い状態が継続されると白アリの被害も起きやすい状態になります。この状態を放置してしまうと、さらなる雨漏り、しいては建物構造の損壊にも繋がります。

 

 3.変色・変形から外観の劣化

ひび割れの拡大によりカビの付着、下地材の腐食、外壁の脱落も起きることがあります。基礎コンクリートの鉄筋の腐食によりコンクリート表面の剥離が起こります。

 

 4.湿気・カビによる健康被害

外壁から水分が侵入する頻度が上がることで、構造材のみならず、内壁内部にもカビが広がり、そのカビが胞子を空気中に撒き散らすことで健康被害が生れます。

カビが人体に与える影響には以下のようなものがあります。

  • アレルギー性鼻炎
     鼻の粘膜に付着した異物による鼻水、鼻づまり、くしゃみなどの症状
  • 過敏性肺炎
     アレルギー性肺炎で、風邪と間違われやすく、症状は咳、発熱、倦怠感
  • 気管支肺アスペルギルス症
     アスペルギルスというカビによる。呼吸を妨げ、咳、痰、息切れ、喘息といった症状が発症します。
  • 水虫
     白癬菌(はくせんきん)というカビにより、強烈なかゆみを引き起こす。
  • シックビル・シックハウス症候群
     建物に使われる木材、家具等に発生したカビによる健康被害の総称
    倦怠感、頭痛、めまいなどの症状があります。

 

以上の通り、ひび割れはたくさんの想い出の詰まった建物だけでなく、ご家族の健康や安全な生活にも深刻な影響を引き起こします。ではどんな原因で「ひび割れ」は起きるのでしょうか。

 

ひび割れが起きる原因

 1.経年劣化

   建物が風雨に晒されることで、外壁材料の外皮の痛み、乾燥等により膨張伸縮によりひび割れが発生します。

 2.地震

地震の物理的な揺れによって、建物が振動し、外壁にひび割れを起すことがあります。

 3.建物の沈下・傾き

建物の一部が地盤沈下することで建物が傾き、ひび割れを起すことがあります。

 4. 施工不良

新築時の外壁施工業者の施工ミスや曳家工事業者の不良工事により外壁にひび割れを起すことがあります。

 

ひび割れは時間の経過や外的要因によって引き起こされますが、人の手によっても引き起こされることがあります。特に不良な曳家工事は自ら無自覚な工事によって、気づかない間にひび割れを作ることがあります。

 

本当に大丈夫!?ひび割れを作ってしまう悪質な曳家業者の不良な施工方法とは?

誰しも施工時にひび割れを作るのを意図するわけではありませんが、建物構造に対する無自覚な施工方法は確実に建物を痛め、外壁、基礎コンクリートのひび割れを発生させます。
以下にどんな施工方法を行うとひび割れが生じるのかを見ていきましょう。

 1.必要な鉄筋補強工事を行っていない

(基礎より上の建物の移動を行う)下腰工法の曳家工事によりコンクリート基礎を新しく作る場合にはH鋼やレールを落とし込むためのコンクリート基礎欠損部が生れます。通常コンクリート基礎は連続した鉄筋による引張抵抗とコンクリートによる圧縮抵抗によりその強度を保ちますが、曳家工事では基礎欠損部による鉄筋の切断が起きます。この際に必要な鉄筋の補強工事を行わないことで、コンクリート基礎の強度も著しく低下します。

※基礎欠損部の復旧に鉄筋を用いず、コンクリート復旧も行わずにブロックによる復旧を行う業者もいますが、建物の耐久性・強度という観点からは完全にアウトです。

 2.精密な高さ管理を伴わない揚げ家工

曳家工事において建物にひび割れが起きる最も大きな要因の一つが、揚げ家工時の高さのズレです。不良な業者は効率を優先し、精密な高さ管理を行わないために不均等なジャッキ揚げ幅の差が生まれたり、そもそものジャッキの数が少なかったり、適切な箇所にジャッキを配置しなかったりすることで、基礎コンクリート、外壁にひび割れが入ります。
さらにひどいと内部の構造材に亀裂が入るなど、建物としての耐震強度・耐久性が失われると大掛かりな修正工事なしには二度と戻ることはありません。

 

 3.雑な曳家工

曳家工事で建物を移動する際に、どんな曳き方(押し方)かをするのかはとても重要です。強固に見えて実は歪みやすい建物を歪みなくひび割れなく曳くためには専門の曳き方機器が必要になります。もともとの曳家技術では、神楽やチリホールといった専門の曳方機器を用いていたのですが、近年、雑な施工をする業者の中にはそういった専門曳き方機器を用いずにバックホウ(掘削機械)で建物を曳いたり押したりする業者もあります。これらの機械は設置が容易で専門的な知識が必要ない反面、建物を移動させるためにバックホウが押す一点に集約された力で基礎にひび割れが起きてしまうことは言うまでもありません。 

不良な施工方法で曳家工事を行われてしまうと、建物に回復不可能な歪み・強度低下が起こるだけではなく、その改修費用にも大きな費用がかかることがあるので、不良な施工方法について知っておくことはとても重要です。

過去に起きたひび割れが原因の災害の事例

1995年 阪神・淡路大震災: 阪神・淡路大震災では、多くの建物で基礎の破損やひび割れが発生し、建物の倒壊や大規模な被害につながりました。この震災を契機に、建築基準法の耐震基準が見直され、基礎の重要性が再認識されました。
原因:強い地震動 結果:建物の倒壊、人的被害

2011年 東日本大震災: 東日本大震災では、地震動に加えて津波による被害も大きく、沿岸部の建物で基礎の洗掘や破損が多数報告されました。液状化現象も広範囲で発生し、基礎の沈下や傾斜が見られました。
原因:地震動、津波、液状化 結果:建物の倒壊、沈下、傾斜

2016年 熊本地震 :熊本地震では、特に木造住宅の基礎に多くの被害が報告されました。基礎のひび割れや破損が原因で、建物全体の傾斜や倒壊につながった事例が多く見られました。
原因:連続した強い地震動 結果:建物の傾斜、倒壊

2024年 能登半島地震 :2024年1月1日に発生した石川県能登半島地方の地震では、多くの建物で基礎にひび割れが見られました。木造住宅では、基礎部分に数本のひび割れが発生し、外壁の境目から斜めに伸びるケースが報告されています。
原因:強い地震動 結果:基礎のひび割れ、建物の一部損壊

地震災害でひび割れが起きた事例も様々ですが、人為的に作ってしまったひび割れが地震被害を拡大させることは言うまでもありません。
では曳家工事において、ひび割れから大切な家を守るにはどうしたら良いでしょうか?

簡単にできる!ひび割れから大切な家を守るには?

 1.曳家業者の姿勢・考え方を知る

曳家を担当する会社がお客様に対して、工事に対してどんな考え方を持っているかを知ることは重要です。過度な利益優先をしていないか、逆に受注のための過度な値下げを行っていないか、十分な技術を保有しているかなどをチェックしましょう。パンフレットを取り寄せたり、ホームページを調べることで、曳家業者の社風や社員の雰囲気を事前に確認することができます。もちろん直接あってたくさんの質問をすることも重要になります。

 2.担当者の考え方を知る

担当者と話し、どのような考えを持っているかを知ることも大切です。会社としての方針を担当者は周知徹底しているか、十分な曳家・建築に対する知識を持っているかを質問することが大切です。曳家工事は曳家の技術・経験だけではなく、建物や基礎の構造、部材、地盤や法律に関するまで、広く深い知識、経験を兼ね備えていなければなりません。担当者とあって、不安なことを相談したり、その人柄、考え方を知っておくことが大切です。

 3.実際の現場を見る

実際の現場は嘘をつきません。近くで行われている現場に足を運んで、どのような姿勢で職人が働いているのかを見ると信頼できる業者かどうかが分かります。
・十分な間隔でジャッキは配置されているか?
・効率を重視したあまり、無理な作業は行われていないか?
・建物を上げるときには安定した受け方をしているか?
・工事中の地震など不慮の事態を想定した工事をしているか?
・現場できちんとした教育が行われているか?
など、実際の現場から得られる情報はたくさんあるのです。

 4.口コミを調べる

近くの曳家を行った経験者に話を聞くことも大切です。曳家工事を行った際にトラブルはなかったか、ひび割れ、不具合が発生しなかったか、改修工事にどのくらいのお金がかかったかなど聞くと、曳家工事だけではなく、全体にかかった費用感なども把握することができ、業者選定の良い判断材料になります。

またせっかく新築よりも費用の安い曳家工事を選んだのに、ひび割れが起きてしまったことで、別途修繕工事費用が発生してしまっては仕方がありません。すでに曳家工事をした経験者から業者の仕事に対する姿勢や担当者の態度を聞くことは安心な曳家工事の基本となります。

 

ーーー

建物・基礎だけではなくお客様との「ひび割れのない」信頼関係を築いていく

私たちは曳家工事は建物を曳いて終わりではなく、実際にお客様が今まで培ってきた大切な想い出と共に家を曳くこと、そして末永く安心・安全な生活ができることまでが曳家工事だと考えています。
そのために私たちは、建物や基礎の強度を確保した工事品質を追求するのはもちろん、お客様との信頼関係を築くことを何よりも大切にしています。なぜなら、お客様との信頼関係こそが、真に満足のいく住まいづくりを実現するための基盤だからです。

 

曳家工事には、工事着工前から工事中、工事完了後と様々なリスクが伴います。これらのリスクからお客様生命と財産を守るためには事前の準備が必要です。曳家工事を理解し、今お住まいの建物を理解することで、生命と財産を守ることができます。
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「教えて曳家先生!~絶対に損しない○○のコツ~」では、曳家の専門業者だからこそ知っている絶対に損をさせないお得な情報、大切な情報について触れていきます。
曳家を検討されている方はぜひ読んで、絶対に損しない曳家と工事の後にも続く大切な生活に必要な情報を一緒に学んでいきましょう。


もし身近に信頼できる曳家さんがいない場合は日本曳家協会認定の曳家指導士、五月女がお答えします。ぜひお悩みを曳家先生への「ウェブ相談」を頂くか、もしくは五月女建設のお問合せフォームでご連絡ください。
あなたの身に寄り添った立場で法律面、施工面、費用面など持てる知識と経験の限り、誠心誠意お答えさせて頂き、あなたの「絶対損しない曳家工事」に協力させて頂きます。

±3㎜のこだわり

編集後記

教えて 曳家 先生! 第十一話 ~絶対に損しない ひび割れ 防止のコツ~を読んで頂きありがとうございます。こうやって記事を書いている時には、今まで関わらせて頂いたいろんなお客さんやお住まいの建物のことを思い浮かべながら、内容を検討したり、文章を書き直したりしています。どんなことに不安を感じていただろうか、どんな情報提供ができたら喜んで頂けただろうかなどなど想像はつきません。少し遠い先の未来にお客様が後悔ないようにこれからも記事を投稿していきます。家の壁と同様に、お客様との信頼関係にもひび割れは、生まれてしまっては困りますからね。 また「こんなことが訊きたい!」といったご質問もお待ちしております。お問い合わせフォームにて連絡ください!


五月女 紀士(そうとめ もとし)

五月女建設代表取締役、日本曳家協会常任理事、曳家指導士。1979年栃木県鹿沼市生まれ、栃木県鹿沼市在住。日本大学生産工学部土木工学科卒業。2003年に建設業の道に入り、土木作業、施工管理業務を経験したのち、2005年より五月女建設に入社、曳家業務に従事する。国指定有形文化財「真岡高校記念館」での曳家技術を活かした耐震改修工事では現場監督を務め、2018年に専務取締役、2020年に代表取締役に就任する。現在、「お客様の『想い』に寄り添い対等な関係を構築する」営業で、曳家工事において全国でもトップクラスの件数を受注している。曳家先生として、曳家技術や地盤沈下、大雨被害対策、古民家再生の解説を行いつつ、好きな仕事に励んでいる。2児の父、休日は山や川での犬散歩を喜びとしている。曳家工事の専門家。 Facebook  Instagram  Youtube

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